美味極楽メインページ > 料理人、海へ。VOL.9 > VOL.9 釣り編
連載 ニッポン釣魚紀行 料理人、海へ。VOL.9 釣り編 青い空 光る海 並ぶ竿 静かに燃える狩猟本能 美味しいものは見逃せません!
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ダイワの小堀は沖釣りマニアには有名。手返しの速さ、恐るべし
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船の上の心地よさに「サンセールが飲みたい」と熊坂女将
秘匿のポイントで
テトラの間を攻めて釣れ!
 船が止まった。港から十分弱。某港防波堤のすぐ横という意外な海上。しかし、このテトラポッドに囲まれた防波堤突端こそが、カサゴ釣りマル秘ポイントなのだ。
 防波堤は立入禁止なので、船からしかこの場所を攻略することができず、さらには、その船も船首を防波堤に向けているので、舳先にいる数人しか釣りができない。つまり千代吉丸でも、乗船した釣り人が、少人数の時のみしか訪れない、とっておきの漁場なのだ!
「仕掛けをテトラポッドの間に落とし込んで、時々しゃくり、餌をカサゴにアピールしてください」
 小堀の指導通り、オモリを前方に振り入れて、仕掛けをテトラポッドの間に落とし込む中湊と熊坂。
「こんなに浅いんだね」
 水深の浅さに驚く中湊の持つAトリガー・エビタイの竿先が、早くもブルブルブルッという魚信をとらえる。
 千代吉丸秘蔵のポイントの魚影はすこぶる濃い!!
 聞き合わせるようにゆっくりと竿を立ててリールを巻き上げる。取り込まれた魚はもちろん、緋色に輝くカサゴだ!
「深場の鬼カサゴを釣りに行ったことはあるけど浅場のカサゴは初めてでね、でも浅いと、アタリが明確で、これはおもしろいね!」
 ライトタックルといわれる軽い釣り道具で行う浅場のカサゴ釣りのおもしろさを、一尾目にして早くも気付くのは、やはり中湊の魚類察知DNAのたまものか。
 一方、熊坂は根がかりに苦戦していた。しかし、海底に潜むカサゴ釣りに根がかりは付き物。むしろ根がかりは攻めて釣っている証拠なのだ。
「根がかりのたびに小堀さんに外してもらって申し訳ないです」
 と言いながらも、東京中のワイン好きを西麻布の『葡呑』に引き寄せるその才能は、ついにカサゴをも自らの餌に引き寄せる!
「釣れました〜!」
 船上に巻き起こる拍手。
「根がかりが多いから仕掛けは一杯持っていった方がいいよ」
 船長も釣行前にはそう言っていたにもかかわらず、コツを飲み込んだ熊坂の根がかりはぱったりと減り、代わりに釣果だけが増えていく。
 中湊はあいかわらずの絶好調。
 防波堤突端から、にぎわう海水浴客たちで砂浜を七色に染めた猿島周りのポイントに移動しても、二人の怒濤のカサゴラッシュは続き、午後4時にはクーラーは緋色で埋めつくされていた。
 魚好き、海好きが高じ、海沿いに住み始めた中湊が、カサゴでズンッと重くなったクーラーを肩に担ぎ、船を降りながら呟いた。
「やっぱりいいなぁ、海は」

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1.餌はサバ切り身。イソメ類苦手な方もどうぞ
2.二人同時ヒットも多く、思わずこぼれる笑み。鮮度ピチピチです
3.小堀さんも講師を務めるダイワ釣りツアーの詳細はこちら
この日のタックル&仕掛け
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小型ながら液晶水深計を備えた『イッツICV』。カサゴはその漁場特有のポイントに合った船宿仕掛けが一番! 光沢&目玉柄で魚に強烈アピールし、根がかりしにくい『快適船シンカーZn丸型』をオモリに使い完璧
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『Aトリガー エビタイ』はエビタイ釣法用に開発された竿だが、海底の起伏を手もとに如実に伝えるワンピースならではのしなやかさはカサゴにもベスト
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村上釣船店・千代吉丸
神奈川県横須賀市新安浦港内
TEL 046-825-9455(店)
TEL 046-822-1779(自宅)
電話は朝5時〜午後9時まで
カサゴの他、年間通して楽しめるアジ、春にはメバルにイシモチ、夏から冬のタチウオ、そして冬にはスミイカと東京湾の多彩な釣り種を楽しめる。京急『堀之内』駅からの送迎もあり、電車釣行派も便利
VOL.9 料理人 「葡呑」シェフ 中湊 茂氏×カサゴ
料理編
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