連載 ニッポン釣魚紀行 料理人、海へ。VOL.9 料理編
まさしくカサゴ これぞカサゴ 一心不乱にむしゃぶりたい
カサゴを超えぬ味で作るカサゴの極上料理 最上の素材をどういうコンセプトで皿の上へと昇華させるのか? そして、それに合わせるワインは? カサゴ釣りの最終章in『葡呑』!!
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葡呑
東京都港区西麻布4-2-14
TEL 03-3406-2207
営/18:00〜24:00(LO)、木〜土〜翌2:00(LO)
休/日・祝
予算/5,000円
個室/あり 
カード/可

開店直後から食の激戦区・西麻布の人気店となった古民家でのワイン&和食店。抜群の魚料理は和が中心の多国籍風。レアなワインも多い
アクセス
素材を引き出す料理は
素材を超えない味付けで
『葡呑』中湊オーナーシェフに、今回作っていただいた料理には、氏ならではの料理哲学が息づいている。
「いつもボクが料理で大事にしているのは、素材を超えない味ということ。だから今回も、カサゴを超えない味ということを第一に考えて料理しました。だって今回素材がいいでしょ。触ってるだけでも全然違うもんね、料理してても」
 そんなカサゴの素材を超えず、なおかつカサゴの良さを引き出した料理は3品。
 まずは『笠子の檸檬胡椒和え』。「カサゴを刺身で食べるんだったら、身と皮のコントラストの味が一番美味しい。もしこれがカサゴでなくイサキやアイナメだったら、同じ皮をつけたままでも、皮目を炙ったりしたかもしれないけど、カサゴはやっぱり湯霜にするのが一番美味しいからね」
 さて熊坂女将にはそれぞれの料理に合うワインもセレクトしていただいた。
「この料理にはサヴォワの『コティヨン・デ・ダム』2008。ジャケール種でノンフィルターなので少しニゴリがあるんですが、キリッとした酸味と旨みがあって、飲み口もスッキリです」
 身と皮のハーモニー、そして檸檬胡椒の刺激的アクセントを堪能したい。
『笠子と松茸 ドライトマトの重ね焼き』の味付けは、火を入れる前にカサゴに振ったひと塩のみ。「ドライトマトにも塩分があるからね、それとカサゴのひと塩だけで充分に美味しい。あ、マツタケは高いからエリンギで代用してもよいです。それはご自由に」
 そしてワインは…。
「シャルドネの『ル・モン』2009。樽のニュアンスもしっかりあって、ドライトマトや万願寺唐辛子とも合うはずです」
 そして最後に『笠子の唐揚げ 香り野菜とガルムのアーリオオーリオソース』。
「やっぱりカサゴだったら骨も頭も味わい尽くしたいじゃないですか。そこで、中国なんかの、魚を蒸して、魚醤かけて、熱々のピーナッツオイルをかける料理あるでしょ。あれをイタリアン風にしてみた。でもガルムは珍しいから、魚醤ならなんでもいいよ」
 そしてこの料理に合うワインは「シュナンブランの『ラリュンヌ』2009。ふくよかな果実味があり、白ワインでもスッキリさより、ふくよかさがあって余韻が長い。揚げ物にも負けない味わい」
 カサゴを超えない味ではあるが、味覚の常識は大きく超えた味。ぜひ家庭でためして欲しい。
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圧倒的速さでカサゴを逸品に仕上げる合間も「また釣りに行きたいね」と中湊氏
釣魚料理レシピ
カサゴ
とにかく素材を活かした料理ゆえ、中湊オーナーシェフ直伝の調理法の核の部分をマスターすれば、様々な味わい方に応用がきくはずだ。 大事なことは、素材を超えない味付けで、素材の良さを引き出すことだ。
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笠子と松茸、ドライトマトの重ね焼き
 
笠子の檸檬胡椒和え
 
笠子の唐揚げ 香り野菜とガルムのアーリオオーリオソース
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VOL.9 料理人 「葡呑」シェフ 中湊 茂氏×カサゴ
釣り編
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