連載 ニッポン釣魚紀行 料理人、海へ。VOL.8 料理編
ローストして、煮込んで そして冷たいまま生で! カワハギが甦らせる シェフ日 思い出の味
虚々実々の駆け引きの末、自らの本拠地『アクアパッツァ』にカワハギを持ち帰った日シェフ。そこで作り上げた珠玉の料理の中には、イタリア修業時代の貴重なエピソードに彩られた一皿もあった。
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あの料理を日本で作るにはカワハギが必要だった
 今回の対象魚がカワハギと決まった時から、日シェフには作りたい料理があったという。
 それは『カワハギのリゾット』。なんと『アクアパッツア』の開店当初にメニューに載っていた料理だという。
「フィレンツェやミラノの星付きレストランで修業してた時、そういう店の料理がフランス料理みたいな感じで、地方でも修業をしようと思ったんだ。それで三ツ星のシェフから紹介してもらって行ったのが『ダル・ペスカトーレ』・・・漁師という意味なんだけど、海沿いじゃなく、山の奥にあるお店でね。ポー川というイタリアに大きな川があって、その支流でオーリオ川という川がある。その川のほとりで、三代続く料理旅籠屋。
 レストランの裏庭に畑があって、ニワトリを飼っていて、オーリオ川が流れていて。そこから船を出してナマズとかウグイとか、チョウザメの小さいのとか川カマスとかを捕まえて、それを食べさせるのが名物だった。
 そこで、働くかどうするか決めてみようと、まず料理を食べてみた。その時に食べたのが"ナマズのリゾット”。それを一口食べた時に『こッれはウマいッ!』と、もうそこで修業しようと決断したくらい。それで日本で店をやりだした時に、どうしてもあのナマズのリゾットをメニューに載せたいと思ったんだけど、日本にはなかなか質のいいナマズがなくてね。
 そこで、ナマズの代わりにカワハギでリゾットを作ったんだよ」
 料理人・日良実の料理といえば、店名にもなっている“アクアパッツァ”をすぐに連想するが、“カワハギのリゾット”も、この名シェフの輝かしい歴史を語る上で忘れてはならない料理なのである。
 そのレシピをここで紹介できるのは、なんとも誇らしいかぎりだ。
 また驚かされたのが“カワハギと肝の冷たいパスタ”。
  カワハギの刺身の肝和えは、カワハギを狙う釣り人ならば、誰もが必ずや一度は作る料理であるが、肝と和えた時点で誰もが“非の打ち所のない完成品“と思い込んでいた。それをさらに冷製パスタと和えるとは!!
 なおかつ、あれほど完成形だと思っていた“肝和え”を凌駕する完成度!
 全カワハギ釣りマニアに教えてあげたいリチェッタである。
 それにしても、全料理とも味付けは、ほぼ塩とオリーブオイルのみ。カワハギの持つ、その豊潤な味わいをストレートに味わう日 流イタリアン。釣りを今から始めめてでも堪能してほしい!
リストランテ アクアパッツァ
東京都渋谷区広尾5-17-10 EASTWEST B1
TEL 03-5447-5501
営/11:30〜13:30(LO)、土・日・祝は〜14:00(LO)18:00〜21:30(LO)
休/無し
予算/昼3,500円〜、夜7,350円〜
個室/あり
カード/可
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説明不要といってもいい、日本のイタリア料理史に輝くリストランテ。地下ながら外光降り注ぐパティオを取り囲む、傑出した居心地を誇るホール、豊富なワイン、そしてなんといっても日良実の料理が最高の時間を提供する
カワハギの捌き方
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口の部分をハサミなどで切り、皮をはがすための取っ掛かりを作る。
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口の周辺の皮が剥けているところを持ち、尾びれの方にゆっくりと引っぱり、皮を剥がしていく。
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皮をはがしたら、肛門周辺に切込みを入れて指を入れて広げる。
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頭側を身からゆっくりと引きはがし、肝を丁寧に取り出す。
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内臓部分や血合いをボウルにはった氷水できれいに洗い、水気を取る。
釣魚料理レシピ
カワハギ
実際にレシピ通りに調理してみればわかるだろう。その行程は驚くほどにシンプルだ。だが、そのシンプルな調理法だからこそ引き出される、釣り上げたカワハギならではの素材のポテンシャル。堪能あれ!
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カワハギのリゾット
 
カワハギとジャガイモとズッキーニのロースト
 
カワハギと肝の冷たいパスタ
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VOL.8 料理人 「アクアパッツァ」シェフ 日良実氏×カワハギ
釣り編
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